追悼文 とびきりの笑顔 同人詩誌「群青」第8号(2007年2月15日・刊)より、同人・木下龍子さんへの追悼文を転載します。 とびきりの笑顔 新サスケ 木下龍子さんに初めてお会いしたのは、お互い高校生の時だったろう。「南信雄氏追悼」にも書いたのだが、高校文芸部員の時に他の部員と共に、仁愛女子高校文芸部の方たちと会った事がある。当時、木下さんはI・秀子さんと共に詩で活躍されていて、福井新聞に取り上げられ、また二人詩集「十七歳の詩(うた)」を上梓した。その場に木下さんは当然居られただろうが、僕にイメージの記憶は残っていない。木下さんもその時の僕を憶えていらっしゃらなかっただろう。 年月は過ぎて、福井県詩人懇話会などの催しの席上、彼女に会う事が多くあった...25Apr2019
旧・エッセイ「思い違い」 僕の関わった同人詩誌「群青」第12号(2008年6月25日・刊)より、エッセイ「思い違い」を転載します。 思い違い 新サスケ 誰でも長いあいだ思い違いをしていた事の幾つかはあるだろう。 僕は中学生の頃か、滝廉太郎・作曲の「荒城の月」の出だし、「春高楼の花の宴」の「高楼の」を「頃の」を伸ばして歌うのだと思っていた。「高楼」という難しい言葉を知らなかったのだ。 また島崎藤村の詩集「若菜集」より「初恋」の、「誰が踏みそめしかたみとぞ」の「かたみ」を「固み」だと思っていた。遺品以外にも「形見」という言葉を使うと知らなかった。 高校文芸部の後輩に「寂寥」の読み方を問われて「せきびゅう」だろうと言ったら、知っている者に笑われた。「誤謬...15Apr2019