協力 同人詩誌「群青」(年3回・刊)の第23号(2012年3月1日・刊)に載せた、僕のエッセイを紹介します。再任用職・時代の話です。 協力 新サスケ 僕達の仕事は、客商売であり、力仕事でもある。冬の間は客が少なく、作業も少ない。 プラットホームと呼ばれる作業場の、控え室で相棒とラジオを聞いている。FMの地域局である。平日の午前九時から十時まで、繰り返し懐メロが流れる。 女性歌手の歌謡曲を聞きながら、僕は 「ヤッさん、この歌手は誰やったかな?」 ヤッさんは僕より三つ年上、この歳になれば同年代である。 「んー、誰やったかなあ」 「『あけみ』でなかったけ。下がひらがなやった気がする」 「んー。曲さえあわかればな」 「曲はわかる。『喝采...15Feb2019
第三の大衆詩型 前回に続いて、同人詩誌「群青」第29号(2014年2月・刊)に寄せた、小論を載せる。 第三の大衆詩型 新サスケ 現在、大衆詩型として、短歌と俳句がある。芸術詩と大衆詩とに分化すると説く人もいる。 短歌(和歌)は「万葉集」以前より記録され、のちには宮廷とその周辺の文学となったようだ。 俳句は、連歌の発句が独立し、一詩型となった。芭蕉は武士と大商人を頼りとし、大衆的には点取り俳諧もあった。 明治の正岡子規が、俳句と短歌を革新し、新しい大衆詩の基礎を作った。もっとも彼は、世界詩としての俳歌を目指していた所がある。 敗戦後、とくに生活にゆとりが出来て以来、俳歌は盛んとなり、女性の進出も著しい。 心情を短く述べる事、また定型に収める...04Feb2019