図書カード

 同人詩誌「群青」(2015年、34号で終刊)に交代で載せたエッセイの内、自分の分を逆年順にアップしてゆきたい。まず33号(2015年6月・刊)から、「図書カード」を。

  図書カード

   新サスケ


 ある土曜日の午後、妻が笑顔で「図書カード、要らない?」と訊く。「貰うよ」と僕。

 さほど嬉しそうでもなかったのは、最近ではネットで本を買う事が多く、書店で買いたい本が、すぐには浮かばなかったからだ。「千円分あるわよ、はい」。

 二週間後の平日午前、僕は車で「KaBoS 二の宮店」へ向かった。二年ぶりくらいか。家より遠くて、ガソリンと時間が掛かるのはドライブと思えば良いが、トラブルめいた事があって、足が遠のいていた。店は広くて、品揃えも多いのだ。

 アメーバブログを持っているので、そのグレードアップのガイド本があるかと思ったが、適当な本はなかった。背景の変更の解説などで、アクセス・アップに集中した本がない。

 最後の頼みは、岩波文庫である。ある本は税抜き900円で、税込みでは千円にわずか足りない。桂川甫周・著「北槎聞略」が税抜950円で、値段的にはちょうど良い。副題は「大黒屋光太夫ロシア漂流記」であり、僕の書架にない。

 レジの女性(今は年配の人が一人)へ持って行く。「1026円で、図書カード千円に、現金26円です」。財布の小銭入れを捜すと、百円玉が1枚あって、それで払った。千円札を出すような羽目にならなくて良かった。「カバーをお掛けしますか?」。「お願いします」。ふだんは掛けてもらわないのだが、読むとしてずいぶん先の事のように思えたからだ。

 帰宅して、4段の文庫本棚の上、ブックスタンドで更に1段作ったその上に、本はぽんと置いたままである。 (以上です)。



新サスケの散文サイト

新サスケの散文を、載せてゆきます。